3 メガネの素材

第3回の今回は、メガネの素材について紹介していきます。以前はあまり多くの素材が使われていませんでしたが、近年は技術の発展に伴いメガネフレームにも色々な素材が使用されています。素材によってデザイン性も変わることはもちろん、メガネの性能、掛け心地に関して大きく影響してくるのが、素材なのです。

メタルフレーム
・ニッケル合金
昔からメガネフレームに使われている素材です。チタンが登場するまではメガネフレームの主流でした。現在でも最も一般的な素材です。強度があって腐食しにくく、加工しやすいのが特徴。反面、顔に合わせた調整がしにくいという弱点もあります。チタンに比べ重い素材。

・チタン(α-チタン)
腐食が起こりにくく軽量で弾力性もあるため、とても掛けやすいフレームです。ピュアチタンとクラットチタンがあり、ピュアチタンは純度99%以上を差します。後者は芯の外側にチタンを巻きつけてあるため汗などでメッキ剥がれがあった場合はチタンが剥がれる恐れがあります。また金属アレルギーの方にも安心して使えます。

・β‐チタン
チタン合金の一種ですが、素材メーカーにより製作方法が違うため数種類存在します。従来のチタンと比べ熱に対する強度と弾性に優れ、メガネフレームでは主にブリッジやテンプル部分などに使用されています。NT合金に比べれば弾性は落ちますが軽い掛け心地が特徴。表面を陽極酸化という処理を行うことで鮮やかなカラーリングができるのもポイントです。

・NT合金
超弾性合金、形状記憶合金とも呼ばれ、名前の通りニッケルとチタンの合金です。チタンにくらべ25%ほど軽く、非常に柔らかく他の金属とは比べ物にならないほどの弾性を持つ合金です。メガネフレームとしては歪みにくく軽い掛け心地が特徴です。ただし気温によって特性が失われますので注意が必要です。余談ですが携帯電話のアンテナなどにも使われている合金です。

・金
純金では柔らかすぎるので18金や14金が使われます。錆びることもなく空気中や水中では永久に変色しません。表記は18K、14K。柔軟性がある、腐食しにくい、金属アレルギーを起こしにくい、などの長所がある一方、貴金属だけあって高価です。

・アルミニウム
チタン素材に比べ約6割の比重という軽量な素材です。テンプル部分に古くから使われています。柔らかく加工が容易なためメガネフレーム以外にも様々な工業製品に利用されています。

セルフレーム
・セルロイド
世界でも最も古い合成樹脂。登場は1856年イギリス。綿・パルプなどの自然素材を原料とし、硬質で光沢のある性質でありながら温かみのある肌ざわりが特徴です。造形しやすいですが発火性が高く、保管方法、取扱いが困難なため、現在では純粋なセルロイドフレームは希少となっています。鼈甲や象牙の代用品として多くの製品にも使われてきました。

・アセテート
現在のプラスチックフレームの主流となる素材です。現在流通しているセルフレームのほとんどがアセテートを用いており、特徴としては加工性が高く燃えにくい、着色性が高いという利点の反面、柔らかいため変形しやすく吸水性も高いという弱点もあります。経年劣化で脱色し硬質化していくという面もあります。さまざまな形状、色がありファッション性が高いと言えますが、掛け心地の調整の余地が少ないのが欠点といえます。

・オプチル
接着剤などに用いられるエポキシ樹脂が主な原料で、発色が美しく80年代に流行した素材。アセテートの前の主流なプラスチックフレームの素材でした。透明感と光沢に優れ軽量で、経年変化も少ないためメガネフレームの素材として重宝されていたようです。温めると曲がり冷やすと元に戻るという形状記憶の特製を備えています。中心に芯を入れなくても形状を保つことができるため外見的な美しさもあります。

・鼈甲
古くからメガネの素材として使われている、タイマイという赤道付近を回遊するウミガメの甲羅です。代表的な色として、半透明な赤黄色に濃褐色の斑点があるのが特徴です。加工しやすいために古くから世界各地で工芸品や装飾品の素材として利用されてきたようです。また、日本に現存する最古のメガネは徳川家康の鼈甲のメガネといわれています。現在ではワシントン条約により輸入が禁止されているため非常に高価です。

もちろんメガネに使用されている素材はこれがすべてではありません。木や竹などの自然素材やさまざまな合金、または象牙などの高級素材など、多くの素材が使われています。身近で欠かせないものですから、掛け心地やデザイン、ファッション性などから多くの素材が使われてきました。

今回はここまで。第4回はメガネのサイズについて解説していきます。

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